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◇ なったんの「子どもの本」が好き 第一回
「子どもの本」が好きです。
何を指して子どもの本って言うかっつーのは人によって境界線様々だと思いますが、
私は私にとっての「子どもの本」がとても好きです。
「子どもの本」を読むことが出来なくなったら、私の読書生命も終わりだと思ってま
す。もしそうなったら缶詰のフタで頚動脈を切るくらいの潔さはほしいと思っていま
す。
というわけで、私の好きな本について語っていきます。
あんまり専門知識とかないから、間違ったこと言ってたらこっそり教えてな。
というわけで一回目これ。
「時空ハンターYUKI 」 あさのあつこ ジャイブカラフル文庫
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4861760666/qid=1134222616/sr=8-2/ref=sr_8_xs_ap_i2_xgl14/249-9953352-2851555
今大ブレイク中のあさのあつこさん。本屋行ったら「バッテリー」や「No.6」が児童
文学コーナーに平積みされますね。今回はその有名どころを避けてあえてこれです。
ストーリーを紹介すると、主人公中学生女子。性格はぐずぐずおっとり。双子の弟ア
リ。いろいろあって妖怪退治してますな話。現在2巻まで出てます。未完。
はい、今「ありがちー」って思った人正直に挙手しなさい。
重要なのは、これがラノベじゃなくて小学生くらいの子が読む媒体で出版されてるこ
と。
この年齢の子たちからしたら、20前後のおっさんおばさんが「ありがち」って思う
物語でも、「うわぁこんなわくわく初めて☆」になる可能性が高いのよ。たぶん。よ
く知らないけど。
あさのさんの文章は、すごく「正しい」重さで言葉を使ってくれる。これって、もの
すごい快感なのだ。
この「正しい」は道徳的に正しいって意味ではもちろんなくて、その言葉が文章の中
で適切な重みで用いられているのだということ。すとんと胸の中で落ち着ける言葉な
のだということ。この言葉の「正しさ」が「子どもの本」の一番の魅力の一つだと私
は思ってる。
親も教師も言うこと理不尽だし友達同士で使ってる言葉もテレビとかで使ってるよう
な誰かの流用語だしなのこの年齢のときに、様式を踏襲したわくわく物語でなおかつ
ずどんと直球な文章で書かれてる物語を通過しておくのって、あとの人生でもう全然
自分悪くないのにすっごい嫌なことがあって文句言うことも出来ないときに、ぐっと
こらえて「でも私は正しいことを知ってる!」って叫べる力の根本になると思うの
だ。
その上あさのあつこさんは幅広いジャンル年齢に向けて物を書いてる人なので、一冊
読んで名前を知ったら、これほどこの先の人生へのおくりものはないと思う。
まぁ、こんな感じで語ります。今取ってる講義との関連でやってるので、どことなく
説教臭くなるのは勘弁。寛容を強要。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました☆
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◇ なったんの「子どもの本」が好き 第二回
生きてますか、生きてますよ。
というわけで2回目です。連続で続いたよ!
「アレックスとゆうれいたち」 エヴァ・イボットソン 徳間書店
はい、ごめんなさいファンタジーです。大好きです。
オーストリア生まれの作者の、スコットランドとアメリカが舞台な話。
主役アレックス12歳。貧乏貴族。スコットランド人。親なし城ありゆう
れいあり。
ゆうれいに育てられたとても筋のよい子が、ぎったんばったんやってくれ
ます。
吸血鬼やらわんこやらポルターガイストやらナチスやらもりだくさんてん
こ盛りなのに、手ごろな長さで明るく楽しく賑やかでとてもお得な一冊。
こういう「ここをこうしたら楽しいよね!」って気持ちが前面に溢れてる
児童書が大好きです。
200ページちょいっていう短さで話がぎゅっと詰まってるっていうのも
ツボ。ハリポタ以降、やたらと分厚い本が本屋に並んでいますが、「長く
ても最後まで読める」って本のみがあればいいってわけじゃないでしょう。
「薄い本なのにちっともものたりなさを感じない」って偉大なことよ。長
い本も好きだけどね。
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◇ なったんの「子どもの本」が好き 第三回
最近ようやくTeraPadの使い方がわかってきたなったんです。
なんだよ便利じゃん。
未だにこのコーナーの方向性が決めかねます。
まぁええ。ここを読んでくれている人が「そういえば児童文学ってジャンルがあった
よね」って思ってくれるだけでも収穫よ。
というわけで今月はコレ。
「宇宙からきたネコ博士」
作/絵 エム・ナマエ 愛育社
前2回が変化球投げようと努力していたのに、いきなりストレートになったのは単純
にネタを用意する時間がなかったからです。
この本はどこの町の図書館にもあるから。なかったらそこは図書館じゃねぇ。
「UFOリンゴと宇宙ネコ」という題名になれば、心当たりのある方もいらっしゃる
のではないでしょうか。あかね書房から88年に出ていた本の新装版が「宇宙からき
たネコ博士」です。
始まりは夏休み。「宿題はドッサリあるし、まだ幼稚園の弟は毎日遊んでほしいとつ
きまとうし、面白くないったらありゃしない。こうなったら宇宙人にきてもらい、そ
の宇宙船で地球脱出をするしかない」そんな小学5年生の男の子が主人公。
この本を読み返していてきゅんと思ったのは、「そういえば、私も自分が宇宙船で迎
えに来てもらって当然って思えるような時代があったんだ」ってこと。当時何回も何
回もこの本を読み返していたのは、物語の中のネコ博士が取り出してくれる魔法と
か、熱せられたアスファルトの上をきゃらきゃら言いながら自転車転がす雰囲気と
か、大人たちが集まって騒ぐ夏の夜の子どもたちだけの内緒の散歩とか、そういうも
のに飢えていたからなんだけど。
子どもはみんな自分が特別だと思ってる。宇宙人やってきたら、UFOに乗せてもら
えるのがあたりまえだと考えている。
「ネコ博士のうそつき。ぼくを宇宙旅行に連れていくって約束したじゃないか」
そうだった。子どもって、こんなふうに癇癪をおこしていい生き物だったんだ。うっ
かり忘れるところだった。あー、危ないところだった。
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◇ なったんの「子どもの本」が好き 第四回
鼻水ぐずぐず喉いがらっぽいし眼かゆーい!!
免疫力をちょっとでも高めるために毎朝お碗一杯のヨーグルトを食べてます。
ヨーグルトだけだとしんどいので、フレークやジャムで変化をつけてがんばってい
ますが、さすがに飽きてきた…。斬新なヨーグルトの食べ方募集中です。
まぁ、今回はそんな食にまつわる本で行きます。
「いのちの食べかた」 森達也 理論社
“魚は切り身で泳いじゃいないって、TVで見て知ってるよ。それじゃあ、大好きなお
肉は、どんなふうに食卓に届くの? 誰も教えてくれない食べものといのちの、たい
せつな関係。”(森達也公式サイトより)
今回は物語ではないです。中学生くらいの子を対象に出版されている理論社の知識
本「よりみちパン!セ」の一冊。
表紙はぶたさんです。眉毛が下がってます。
「屠殺」と言えば、ここを見ている人はわかると思うのですが、じゃあ現代日本
で、具体的にどう行われているのかって言われると、私はとりあえずこの本を読むま
では知らなかったです。
わかりやすい、センセーショナルな話題から入って、話はと場(屠殺場)で働いて
いる人たちのことへと入っていきます。世の中の仕組みのことがやわらかい口調で真
剣に書かれています。
“僕たちは肉を食べる。つまり生きていた動物を食べるということだ。
(中略)
その営みを僕は否定する気はない。でもならば、せめてほかの「いのち」を犠牲に
していることを、僕らはもっと知るべきだ。どうやって知ればよいか? しっかりと見
るだけだ。眼をそむけずに見るだけで、あるいはきちんと見ようとする気持ちを持つ
だけで、きっと僕たちは、いろんなことを知ることができるはずだ”(本文より)
あと、森さんは映画監督やプロデューサーもやっている「表現者」の人なので、こ
ういう身にしみることも言っています。
“どんな映像でもどんな音楽でもどんな言葉でも、誰かを傷つける可能性はきっとあ
る。別にメディアに限らない。僕らの日常は、誰かを傷つけたり、誰かに傷つけられ
たりすることのくりかえしだ。もしもそれが嫌ならば、部屋に引きこもって一歩も外
に出ないことだ。でもこれだって、君の家族をこれ以上ないほどに傷つける。
(中略)
そもそも僕らの営みは、人を傷つけたり傷つけられたりすることであり、これは人
を愛することや愛されることと同義なんだ”
まぁ、こんな感じの本です。
挿絵も表紙も可愛いし、難しい漢字にはかなが打ってあるし、大人なら1~2時間
で読めます。
中学校の図書室にこの本置いてあるのかなぁ。
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◇ なったんの「子どもの本」が好き 第五回
「趣味は読書です。何だって読みます」って発言は、大抵信用できない。
というか「趣味は読書」の時点で信用できない。
私なんかの場合、自己紹介で「一番好きな作家はダイアナ・ウィン・ジョーンズで
す」って言っちゃうけど、「趣味は読書」とだけしか言わない人は、かなりとっくり
話してからじゃないと同好の士とみなしてよいか判別できない。なにしろ業界が広す
ぎる。相手がイメージしている「本」と自分がイメージしてる「本」がいっしょのこ
となんて、十中八九ないと言っていいくらいだ。
まぁ、そんな風に感じるのは、単純に私の読んでいる冊数が少ないからということ
もあるのでしょうが。児童文学やヤングアダルトですら「読んでおくべき古典」も
「最近の注目株」も全然拾えてないもんなー。
そんな私に本を紹介されても迷惑なだけかもしれませんが、私は日々「子どもの
本ってジャンルがこの世界に存在するんだよ!」ということをプッシュしたいので
す。ぷっしゅぷーっしゅ。
そんなこんなで今回はこれ。ほれ。
「シカゴよりこわい町」 リチャード・ペック 東京創元社
私ももう汚い大人なので冒険はできなくて図書館で本を借りるときは、つい貸し出
しランキングの上位にあるものや、子どもの本コーナーで子どもの目につきやすいよ
うに意図的に配列してあるものを借りてしまうのですが、今回もそんなふうに借りた
本。そして大当たりでした。
「寝起きの30分は読書時間」と決めているのですが、春休みなのをいいことに気
がついたら起きてから2時間経っていました。読むの遅いなー。
舞台は1930年代のアメリカの田舎町。主人公とその妹は、夏休みのたびに一週
間、シカゴからお祖母ちゃんの家に遊びに行かなければならない。死ぬほど退屈だと
思っていた夏休みなのに、生まれて初めて死体をみるとこになろうとは!
という出だしで、お祖母ちゃんが大活躍です。非社交的な偏屈な老人が、発砲はす
る、大法螺は吹く、法は無視する。カントリーなアメリカで、ころころころころ事件
が起きては転がっていきます。
「1900年前半」「アメリカ」「田舎町」ってだけでも、きゅーんとなってしま
うのに、その上「破天荒なおばあちゃん」とくるのです。
設定の凝ったファンタジーより、こういうある種淡々と話が進む本のほうが、物語
のおもしろさははっきりわかるのかもしれないなぁ、と思いました。
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◇ なったんの「子どもの本」が好き 第六回
川上弘美さんの随筆(のようなもの)「あるようなないような」を、見切りで
100円になっていたツナトマトフランスをむぐむぐと食べながら読んでいたら、少
女漫画の話題がでてきて、ちょっとびっくり。その上、話題にでてくる漫画を大体把
握していることにくすくす。そして、各漫画に対する説明の文の運びに感動。
たとえば、大島弓子の漫画は「一人でいたって、死んだりしないひからびたりしな
いかゆかゆになったりしない咳き込んだりしない倒れたりしない、と、いつもひそひ
そ囁いてくれているんだと思う」、
岡崎京子だったら、「限りなく暴力的で後ろ向きで何も考えてなくてそのくせ何も
かも感じてしまう、そういう登場人物にはほんの少しだけ感情移入できるから、ほん
の少しだけしてみて、でもそのあまりの暴力性後ろ向き性無考え性繊細性にはぜんぜ
んついていけなくて、この世のどんな人間だって、岡崎京子の話の中の人間のように
は完全に背を向けられないだろうから、いっそのことそれは爽快なのである」だそう
で。
作家ってすごいなぁ。日本語が読めてよかったよ。
引用文打ってるだけでほにゃあと幸せになります。
こういう類の文章は「自分の感情が投影できるかどうか」などまったく関係なく、
読んでいるとふくふくと嬉しくなってきます。もう、説明・解説なんてヤボなことを
しても無駄です。
というわけで、前置きがながくなりましたが、今回はコレです。
「おさんぽ」 江國香織/こみねゆら 白泉社
はじめに言っておきますが、今回は今までと主旨が違います。
この絵本は「子どものための本」とは筋が違います。かといって所謂「おとなのた
めの絵本」でもありません。
「こどもだった大人のための子どもの本」です。
ストーリーは単純です。綺麗なレースのスカートを手に入れた女の子がお散歩に
行って、いろんな生き物に出会います。車を運転してやってきたお皿やら、新居を建
てたばかりのもぐらやら赤ちゃんが生まれたばかりのへびやら。
お皿! これだけで私なんかはむせび泣いてしまいそうです。
そもそも、もぐらやへびがでてくるのに、「お皿」がのっけから出てきてしまうの
はまっとうな「子どものための本」のやることではありません。
セリフ回しも結構難しいし、これといった教訓があるわけでもない。かと言って、
よくある「大人のための絵本」でもない。
この絵本を読むために必要な力は「子どもの本を読む力」なのに、必ずしも子ども
を対象にしているとは限らない。そういう本です。
こうなったら、もう解説なんかは役に立ちません。入り込めるか入り込めないかの
問題でしかありません。
----あたしは強いおんなのこ。殴られたって泣かないわ。
靴を盗られても泣かないわ。ママが死んでも泣かないわ。
「間宮兄弟」、観にいこうかなぁ。
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◇ なったんの「子どもの本」が好き 第一回
「子どもの本」が好きです。
何を指して子どもの本って言うかっつーのは人によって境界線様々だと思いますが、
私は私にとっての「子どもの本」がとても好きです。
「子どもの本」を読むことが出来なくなったら、私の読書生命も終わりだと思ってま
す。もしそうなったら缶詰のフタで頚動脈を切るくらいの潔さはほしいと思っていま
す。
というわけで、私の好きな本について語っていきます。
あんまり専門知識とかないから、間違ったこと言ってたらこっそり教えてな。
というわけで一回目これ。
「時空ハンターYUKI 」 あさのあつこ ジャイブカラフル文庫
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4861760666/qid=1134222616/sr=8-2/ref=sr_8_xs_ap_i2_xgl14/249-9953352-2851555
今大ブレイク中のあさのあつこさん。本屋行ったら「バッテリー」や「No.6」が児童
文学コーナーに平積みされますね。今回はその有名どころを避けてあえてこれです。
ストーリーを紹介すると、主人公中学生女子。性格はぐずぐずおっとり。双子の弟ア
リ。いろいろあって妖怪退治してますな話。現在2巻まで出てます。未完。
はい、今「ありがちー」って思った人正直に挙手しなさい。
重要なのは、これがラノベじゃなくて小学生くらいの子が読む媒体で出版されてるこ
と。
この年齢の子たちからしたら、20前後のおっさんおばさんが「ありがち」って思う
物語でも、「うわぁこんなわくわく初めて☆」になる可能性が高いのよ。たぶん。よ
く知らないけど。
あさのさんの文章は、すごく「正しい」重さで言葉を使ってくれる。これって、もの
すごい快感なのだ。
この「正しい」は道徳的に正しいって意味ではもちろんなくて、その言葉が文章の中
で適切な重みで用いられているのだということ。すとんと胸の中で落ち着ける言葉な
のだということ。この言葉の「正しさ」が「子どもの本」の一番の魅力の一つだと私
は思ってる。
親も教師も言うこと理不尽だし友達同士で使ってる言葉もテレビとかで使ってるよう
な誰かの流用語だしなのこの年齢のときに、様式を踏襲したわくわく物語でなおかつ
ずどんと直球な文章で書かれてる物語を通過しておくのって、あとの人生でもう全然
自分悪くないのにすっごい嫌なことがあって文句言うことも出来ないときに、ぐっと
こらえて「でも私は正しいことを知ってる!」って叫べる力の根本になると思うの
だ。
その上あさのあつこさんは幅広いジャンル年齢に向けて物を書いてる人なので、一冊
読んで名前を知ったら、これほどこの先の人生へのおくりものはないと思う。
まぁ、こんな感じで語ります。今取ってる講義との関連でやってるので、どことなく
説教臭くなるのは勘弁。寛容を強要。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました☆
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◇ なったんの「子どもの本」が好き 第二回
生きてますか、生きてますよ。
というわけで2回目です。連続で続いたよ!
「アレックスとゆうれいたち」 エヴァ・イボットソン 徳間書店
はい、ごめんなさいファンタジーです。大好きです。
オーストリア生まれの作者の、スコットランドとアメリカが舞台な話。
主役アレックス12歳。貧乏貴族。スコットランド人。親なし城ありゆう
れいあり。
ゆうれいに育てられたとても筋のよい子が、ぎったんばったんやってくれ
ます。
吸血鬼やらわんこやらポルターガイストやらナチスやらもりだくさんてん
こ盛りなのに、手ごろな長さで明るく楽しく賑やかでとてもお得な一冊。
こういう「ここをこうしたら楽しいよね!」って気持ちが前面に溢れてる
児童書が大好きです。
200ページちょいっていう短さで話がぎゅっと詰まってるっていうのも
ツボ。ハリポタ以降、やたらと分厚い本が本屋に並んでいますが、「長く
ても最後まで読める」って本のみがあればいいってわけじゃないでしょう。
「薄い本なのにちっともものたりなさを感じない」って偉大なことよ。長
い本も好きだけどね。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
◇ なったんの「子どもの本」が好き 第三回
最近ようやくTeraPadの使い方がわかってきたなったんです。
なんだよ便利じゃん。
未だにこのコーナーの方向性が決めかねます。
まぁええ。ここを読んでくれている人が「そういえば児童文学ってジャンルがあった
よね」って思ってくれるだけでも収穫よ。
というわけで今月はコレ。
「宇宙からきたネコ博士」
作/絵 エム・ナマエ 愛育社
前2回が変化球投げようと努力していたのに、いきなりストレートになったのは単純
にネタを用意する時間がなかったからです。
この本はどこの町の図書館にもあるから。なかったらそこは図書館じゃねぇ。
「UFOリンゴと宇宙ネコ」という題名になれば、心当たりのある方もいらっしゃる
のではないでしょうか。あかね書房から88年に出ていた本の新装版が「宇宙からき
たネコ博士」です。
始まりは夏休み。「宿題はドッサリあるし、まだ幼稚園の弟は毎日遊んでほしいとつ
きまとうし、面白くないったらありゃしない。こうなったら宇宙人にきてもらい、そ
の宇宙船で地球脱出をするしかない」そんな小学5年生の男の子が主人公。
この本を読み返していてきゅんと思ったのは、「そういえば、私も自分が宇宙船で迎
えに来てもらって当然って思えるような時代があったんだ」ってこと。当時何回も何
回もこの本を読み返していたのは、物語の中のネコ博士が取り出してくれる魔法と
か、熱せられたアスファルトの上をきゃらきゃら言いながら自転車転がす雰囲気と
か、大人たちが集まって騒ぐ夏の夜の子どもたちだけの内緒の散歩とか、そういうも
のに飢えていたからなんだけど。
子どもはみんな自分が特別だと思ってる。宇宙人やってきたら、UFOに乗せてもら
えるのがあたりまえだと考えている。
「ネコ博士のうそつき。ぼくを宇宙旅行に連れていくって約束したじゃないか」
そうだった。子どもって、こんなふうに癇癪をおこしていい生き物だったんだ。うっ
かり忘れるところだった。あー、危ないところだった。
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◇ なったんの「子どもの本」が好き 第四回
鼻水ぐずぐず喉いがらっぽいし眼かゆーい!!
免疫力をちょっとでも高めるために毎朝お碗一杯のヨーグルトを食べてます。
ヨーグルトだけだとしんどいので、フレークやジャムで変化をつけてがんばってい
ますが、さすがに飽きてきた…。斬新なヨーグルトの食べ方募集中です。
まぁ、今回はそんな食にまつわる本で行きます。
「いのちの食べかた」 森達也 理論社
“魚は切り身で泳いじゃいないって、TVで見て知ってるよ。それじゃあ、大好きなお
肉は、どんなふうに食卓に届くの? 誰も教えてくれない食べものといのちの、たい
せつな関係。”(森達也公式サイトより)
今回は物語ではないです。中学生くらいの子を対象に出版されている理論社の知識
本「よりみちパン!セ」の一冊。
表紙はぶたさんです。眉毛が下がってます。
「屠殺」と言えば、ここを見ている人はわかると思うのですが、じゃあ現代日本
で、具体的にどう行われているのかって言われると、私はとりあえずこの本を読むま
では知らなかったです。
わかりやすい、センセーショナルな話題から入って、話はと場(屠殺場)で働いて
いる人たちのことへと入っていきます。世の中の仕組みのことがやわらかい口調で真
剣に書かれています。
“僕たちは肉を食べる。つまり生きていた動物を食べるということだ。
(中略)
その営みを僕は否定する気はない。でもならば、せめてほかの「いのち」を犠牲に
していることを、僕らはもっと知るべきだ。どうやって知ればよいか? しっかりと見
るだけだ。眼をそむけずに見るだけで、あるいはきちんと見ようとする気持ちを持つ
だけで、きっと僕たちは、いろんなことを知ることができるはずだ”(本文より)
あと、森さんは映画監督やプロデューサーもやっている「表現者」の人なので、こ
ういう身にしみることも言っています。
“どんな映像でもどんな音楽でもどんな言葉でも、誰かを傷つける可能性はきっとあ
る。別にメディアに限らない。僕らの日常は、誰かを傷つけたり、誰かに傷つけられ
たりすることのくりかえしだ。もしもそれが嫌ならば、部屋に引きこもって一歩も外
に出ないことだ。でもこれだって、君の家族をこれ以上ないほどに傷つける。
(中略)
そもそも僕らの営みは、人を傷つけたり傷つけられたりすることであり、これは人
を愛することや愛されることと同義なんだ”
まぁ、こんな感じの本です。
挿絵も表紙も可愛いし、難しい漢字にはかなが打ってあるし、大人なら1~2時間
で読めます。
中学校の図書室にこの本置いてあるのかなぁ。
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◇ なったんの「子どもの本」が好き 第五回
「趣味は読書です。何だって読みます」って発言は、大抵信用できない。
というか「趣味は読書」の時点で信用できない。
私なんかの場合、自己紹介で「一番好きな作家はダイアナ・ウィン・ジョーンズで
す」って言っちゃうけど、「趣味は読書」とだけしか言わない人は、かなりとっくり
話してからじゃないと同好の士とみなしてよいか判別できない。なにしろ業界が広す
ぎる。相手がイメージしている「本」と自分がイメージしてる「本」がいっしょのこ
となんて、十中八九ないと言っていいくらいだ。
まぁ、そんな風に感じるのは、単純に私の読んでいる冊数が少ないからということ
もあるのでしょうが。児童文学やヤングアダルトですら「読んでおくべき古典」も
「最近の注目株」も全然拾えてないもんなー。
そんな私に本を紹介されても迷惑なだけかもしれませんが、私は日々「子どもの
本ってジャンルがこの世界に存在するんだよ!」ということをプッシュしたいので
す。ぷっしゅぷーっしゅ。
そんなこんなで今回はこれ。ほれ。
「シカゴよりこわい町」 リチャード・ペック 東京創元社
私ももう汚い大人なので冒険はできなくて図書館で本を借りるときは、つい貸し出
しランキングの上位にあるものや、子どもの本コーナーで子どもの目につきやすいよ
うに意図的に配列してあるものを借りてしまうのですが、今回もそんなふうに借りた
本。そして大当たりでした。
「寝起きの30分は読書時間」と決めているのですが、春休みなのをいいことに気
がついたら起きてから2時間経っていました。読むの遅いなー。
舞台は1930年代のアメリカの田舎町。主人公とその妹は、夏休みのたびに一週
間、シカゴからお祖母ちゃんの家に遊びに行かなければならない。死ぬほど退屈だと
思っていた夏休みなのに、生まれて初めて死体をみるとこになろうとは!
という出だしで、お祖母ちゃんが大活躍です。非社交的な偏屈な老人が、発砲はす
る、大法螺は吹く、法は無視する。カントリーなアメリカで、ころころころころ事件
が起きては転がっていきます。
「1900年前半」「アメリカ」「田舎町」ってだけでも、きゅーんとなってしま
うのに、その上「破天荒なおばあちゃん」とくるのです。
設定の凝ったファンタジーより、こういうある種淡々と話が進む本のほうが、物語
のおもしろさははっきりわかるのかもしれないなぁ、と思いました。
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◇ なったんの「子どもの本」が好き 第六回
川上弘美さんの随筆(のようなもの)「あるようなないような」を、見切りで
100円になっていたツナトマトフランスをむぐむぐと食べながら読んでいたら、少
女漫画の話題がでてきて、ちょっとびっくり。その上、話題にでてくる漫画を大体把
握していることにくすくす。そして、各漫画に対する説明の文の運びに感動。
たとえば、大島弓子の漫画は「一人でいたって、死んだりしないひからびたりしな
いかゆかゆになったりしない咳き込んだりしない倒れたりしない、と、いつもひそひ
そ囁いてくれているんだと思う」、
岡崎京子だったら、「限りなく暴力的で後ろ向きで何も考えてなくてそのくせ何も
かも感じてしまう、そういう登場人物にはほんの少しだけ感情移入できるから、ほん
の少しだけしてみて、でもそのあまりの暴力性後ろ向き性無考え性繊細性にはぜんぜ
んついていけなくて、この世のどんな人間だって、岡崎京子の話の中の人間のように
は完全に背を向けられないだろうから、いっそのことそれは爽快なのである」だそう
で。
作家ってすごいなぁ。日本語が読めてよかったよ。
引用文打ってるだけでほにゃあと幸せになります。
こういう類の文章は「自分の感情が投影できるかどうか」などまったく関係なく、
読んでいるとふくふくと嬉しくなってきます。もう、説明・解説なんてヤボなことを
しても無駄です。
というわけで、前置きがながくなりましたが、今回はコレです。
「おさんぽ」 江國香織/こみねゆら 白泉社
はじめに言っておきますが、今回は今までと主旨が違います。
この絵本は「子どものための本」とは筋が違います。かといって所謂「おとなのた
めの絵本」でもありません。
「こどもだった大人のための子どもの本」です。
ストーリーは単純です。綺麗なレースのスカートを手に入れた女の子がお散歩に
行って、いろんな生き物に出会います。車を運転してやってきたお皿やら、新居を建
てたばかりのもぐらやら赤ちゃんが生まれたばかりのへびやら。
お皿! これだけで私なんかはむせび泣いてしまいそうです。
そもそも、もぐらやへびがでてくるのに、「お皿」がのっけから出てきてしまうの
はまっとうな「子どものための本」のやることではありません。
セリフ回しも結構難しいし、これといった教訓があるわけでもない。かと言って、
よくある「大人のための絵本」でもない。
この絵本を読むために必要な力は「子どもの本を読む力」なのに、必ずしも子ども
を対象にしているとは限らない。そういう本です。
こうなったら、もう解説なんかは役に立ちません。入り込めるか入り込めないかの
問題でしかありません。
----あたしは強いおんなのこ。殴られたって泣かないわ。
靴を盗られても泣かないわ。ママが死んでも泣かないわ。
「間宮兄弟」、観にいこうかなぁ。
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