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 ◇うんちくてらろまてぃっく その9


オプナ   「さて、今回も引き続き召喚魔法よ」
ヴァネッサ「たしか……」
アベル   「そんなに便利なことばかりじゃないって話」
ヴァネッサ「でも、自分の代わりに戦ったり助けたりして
      くれるんだから、便利そうですよ」
アベル   「だよなー」
オプナ   「そうね、実力以上の力が使える可能性がある
      のはこの系列ならではだし、基本的には自分
      が消費するものが少ないのも特徴ね」
アベル   「いいとこづくしじゃん」
オプナ   「だけどね、そんな都合のいい話ばかりではな
      いのよ」
ヴァネッサ「契約、ですか?」
アベル   「でも、魂がどうこういったって死んだ後の話
      じゃあんまり関係なさそう」
オプナ   「そういうところは、やっぱりお子様ね」
アベル   「だれがお子様だ!」
オプナ   「いーい?坊や達。契約なんていったところで、
      それを結んだ両者が対等じゃなければいみな
      いの」
アベル   「へ?」
オプナ   「契約した悪魔はむしろ敵なのよ。常に人間を
      貶めることばかり考えてて、土壇場で裏切る
      なんて話はむしろ普通よ」
ヴァネッサ「契約を破るのですか?」
アベル   「それだったら契約なんてそもそも意味無いん
      じゃないの?」
ヴァネッサ「そうよねぇ」
オプナ   「そこが悪魔達の狡猾さよ。ルールがあれば、
      攻略できると思うのが人間心理。勝算がまる
      でなしじゃ悪魔に会おうとすらしないでしょ?」
ヴァネッサ「隙を見せてるってことですか。でもそれは逆
      に人間も契約を無視できるのでは?」
オプナ   「そうね、普通はそう思うわね。でもね、契約
      のとき使われる力は悪魔の力よ。人にしか作
      用しないのがまあ常識ね」
アベル   「うむむむむ、たしかに契約どうのこうってや
      つは思ってたやつとは違うみたいだけど、最
      近は完全支配してくやつあるじゃない?」
ヴァネッサ「そうね、魔法が増えたり眷族まで支配できた
      りしないけど、一ユニットとして支配するタ
      イプなら、そんなだまされたりなんてこと無
      いのでは?」
オプナ   「そうね、真の名で存在を縛ったり、戦って倒
      すことで言うことを聞かせたりするやつね」
アベル   「それそれ」
オプナ   「でもね、考えてみて。普通力づくで言うこと
      聞かせられて時には命もかけさせられる……、
      黙って言うことをきき続けるかしら」
ヴァネッサ「……考えたことありませんでした」
オプナ   「まあこっちのタイプはゲームで広まったから
      ね。小説だとモンスターコレクションのシリ
      ーズがここの問題を書いてるわね」
アベル   「うーん、なんにしても問題なのは召喚される
      側にも心があるってとこかぁー」
ヴァネッサ「……そうね」
アベル   「ん、でもさ、ゴーレムとかはいいんじゃない?」
オプナ   「ふふ、でもあれは召喚魔法とは違うのよ」
アベル   「あれ?そうなの?」
オプナ   「うーん、そうね、じゃあ次はゴーレムにしよっか」
アベル   「はーい」
ヴァネッサ「はーい(なんだか私は使いそうに無いけど)」


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 ◇うんちくてらろまてぃっく その10

オプナ   「さて、今回はゴーレムよ」
アベル   「ゴーレムっていうと、岩の巨人だよな。ジァイアント
      の一種じゃないの?」
オプナ   「なるほど、それで召喚魔法かぁ」
ヴァネッサ「岩に限らず鉱物で作られた魔法生物ですよね?」
オプナ   「うーん、さすがにいいとこ突いてるけど惜しい。
      材料を問わず、擬似的に命を与えられた僕を広いく
      くりでゴーレムと種別されてるのよ」
ヴァネッサ「ひょっとして、人型以外のもですか?」
オプナ   「そうよ」
アベル   「えー、岩とかの巨人のやつぐらいしか聞かないよ?」
オプナ   「そうね、ゴーレムはD&Dなんかのゲームで、番人とし
      てよく使われた関係で、人型が定着したわけだけど、
      そもそも擬似生命体だから、動物でも何でもいいのよ」
アベル   「それって、ドラゴン・ゴーレムなんてのとかあるって
      こと?」
オプナ   「そう。実際ゲームでは余り見ないけど、小説なんかで
      はドラゴン型のゴーレムも時々見かけるわね」
ヴァネッサ「材料だけでなく、姿かたちもさまざまなんですね」
アベル   「小さいのとかもあるのかな」
オプナ   「手乗りサイズなんてのもあるわよ」
ヴァネッサ「う。(欲しいかも……)」
オプナ   「多様さをいうなら、例えば良くある骸骨戦士なんかも
      そうだし、有名なフランケンシュタインなんかもゴー
      レムの一種だし、意外と、あれもこれもゴーレムてと
      こあるわよ」
アベル   「……ようするに、何でもあり?」
ヴァネッサ(可愛いのはあるかな)
オプナ   「まあね。人為的なモンスターは全てゴーレムといって
      もいいほど間口が広いのよ」
ヴァネッサ「なんだか、ありふれてきそうですねぇ」
アベル   「でも、遭遇率は低くない?」
オプナ   「あら? ゴーレムといわないだけで、そこらじゅうに
      あふれてるものよ」
アベル   「……フランケンシュタインとか?」
オプナ   「うーん、例えばガーゴイルなんかにもゴーレムタイプ
      がいたりして、そうした固有名称を持つモンスターが
      意外とゴーレムってのもあるんだけど……」
ヴァネッサ「……あ、ひょっとして、機械仕掛けなんかも……」
オプナ   「お、そうそう、ちゃんと説明聞いてたみたいね。錬金
      術師ってきいたことないかしら?」
アベル   「錬金術師?」
ヴァネッサ「アルケミストともいいますね」
オプナ   「ゴーレムってのは、神話からとは別に、この錬金術師
      のほうからも発生してきた経緯があるんだ」
アベル   「んんん?」
オプナ   「ちょっと難しい?」
アベル   「いや、そもそも錬金術師がよくわかんない」
ヴァネッサ「アベル君ったら」
オプナ   「しょーがないわね。じゃあ次はそこら辺からいきまし
      ょう」
アベル &ヴァネッサ「はーい」


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 ◇うんちくてらろまてぃっく その11


オプナ   「さて今回は、最近突然認知度の高まった錬金術よ」
ヴァネッサ「前回の話からすると、これまでの魔法と感じが違う
      ようですね」
アベル   「そうそう、なんかゴーレムがほかのモンスターとも
      違う発生のしかたをしてるとかなんとか」
オプナ   「おや、覚えてたみたいね。
      そう、大概のモンスターや魔法は主に神話や伝承、
      宗教なんかからその後の創作と結びついて今の形
      になった。
      ここまではわかるわね」
アベル   「……なんとなく」
ヴァネッサ「そうすると錬金術はそうしたものと成り立ちから
      違うということですか?」
オプナ   「理解が早いわね。
      そもそも錬金術とは金を生み出すための研究から
      生まれた技術を指すのよ」
アベル   「名前から予測はついたけど……それって魔法?」
オプナ   「ふふふ、はっきりいうと科学の基礎になった分野
      なのよ」
アベル   「科学!?」
ヴァネッサ「魔法とは反対のものではないのですか?」
オプナ   「そうね~。
      でもとあるSFの大作家がいうには、理解不能な科
      学は魔法と同じなんですって。
      錬金術もまっとうに研究をしてる限りでは無から
      生み出すのはもちろん、ほかの鉱物を変化させる
      こともできなかった」
アベル   「科学的にってこと?」
オプナ   「化学的にでもあるわね。
      とにかくありとあらゆる研究の果てに、ついに魔
      法の分野にまで手を伸ばし始めたわけよ」
ヴァネッサ「……そもそも魔法が使えるなら金なんて普通に稼
      げるのでは?」
オプナ   「あら、それをいっては……というやつよ。
      まあ、歴史的背景やら当時の文明環境とか、歴史
      の問題になるからそこら辺はながしといてね。
      (魔女狩りとかくらーい話につながるしね)」
ヴァネッサ「はあ」
アベル   「んで、結局錬金術って何なの??」
オプナ   「わかりにくくしたかしら?
      そうね、科学の不可能を可能にする魔法ってこ
      とよ」
アベル   「ええ??
      いままでと、どーちがうの?」
オプナ   「いい、今までのは科学とはまったく無関係なもの
      を魔法としてたのに対して、錬金術はベースはあ
      くまで科学なの。
      その科学では不可能な部分を魔法的に解決しよう
      ってのが錬金術の考え方なのよ」
アベル   「んー、それってどういうとき……」
ヴァネッサ「あ、ゴーレム……」
オプナ   「ふふ、そうよ。
      例えば、ゴーレムを普通の……と言うのも変だけ
      ど……怪物とかとは別モノとして機械仕掛けで動
      かす場合、当然どうやって動いてるかというのが
      あるわね?」
ヴァネッサ「あ、動力?」
オプナ   「そう、生物なら命、魔法生物なら術者の魔力のか
      りそめの命がそれね。
      錬金術師はそれを機械で組み上げてそれだけでは
      無理なところを魔法で補完・補強をするのよ」
アベル   「すっげー……のかな?」
ヴァネッサ「普通に魔法で創造するのではダメなのですか?
      それとも魔法のレベルが足らない分を補ってると
      か?」
オプナ   「ゴーレムに限ればそれもあるかもしれないけれど、
      順序が違うの。
      錬金術師はあくまで科学を先に魔法は材料の一つ
      でしかないのよ。
      変な話高位の術者になると、魔力を必要としない
      仕掛けなんかも作り出すわ」
アベル   「なんか、最近流行の錬金術師とはずいぶん違うよ
      うな気がする」
オプナ   「……あれは、錬金というか、そいう名前の魔法使
      いの話だから、ちょっと本来の意義とは違うかも
      ね」
ヴァネッサ「あのー、いまいちそんなことをする意味がわかり
      ません」
オプナ   「いい?科学の利点を考えてみて」
アベル   「?」
ヴァネッサ「?」
オプナ   「一度生み出されたもの、製作法からはじまり、そ
      れの使用に関して、条件を整えれば誰でも何でも
      応用が効く。
      極端な話、空を飛ぶ道具を作れば、術者でなくて
      もそれこそ村人Aとかでも空を飛ぶのよ」
アベル   「それって、誰でも魔法使いにってこと?」
ヴァネッサ「まってアベル君。それじゃあゴーレムは?」
アベル   「俺らが魔法使いにってことなら、あれは魔法使い
      が戦士って……えーと、どういえばいいんだろう?」
ヴァネッサ「……そっか、つまりは機能の実現……」
オプナ   「本質はわかってきてるようね」
アベル   「……こっちは逆にわからなくなってます」
オプナ   「あら、アベルもいいところいってたのよ。
      いい、順番が逆って言ったでしょ?
      普通なら、魔法を極める過程で術を習得・開発して
      いくし、剣を極める過程で技を覚え編み出していく。
      でもね、錬金術士の考え方は、三段突きを使いたい
      から戦士の能力を足したり、いかづちを放ちたいか
      ら魔法を研究したりするの」
アベル   「え、じゃあ、空を飛べても魔法使いになれるとは限
      らないの?」
オプナ   「そうよ。大概空を飛べるだけ。」
アベル   「うーん、でもそれでもすごけど。」
オプナ   「ふふふ、でもね、本当に万人が使いこなせるものは
      その機能の難度が高くなるほど作りにくいものよ。
      どれだけすごいものを作るか、それと同じぐらいに、
      使用条件を広げるかが錬金術師のレベルの高さを測
      るめやすになるわね」
ヴァネッサ「なんとなくはわかってきたのですが……。」
オプナ   「うーん、そうねぇ。
      ゲームならアトリエシリーズとかかなり本来のイメ
      ージに忠実かな。
      某3DRPGの王道にも出てるやつあるけど、あれは某兄
      弟と同じで、そういう名前の魔法だから気をつけてね」
アベル   「ふー、今回はなんだか大分詰め込んだ気がする」
ヴァネッサ「そういえばそうね」
オプナ   「じつはね、ちょうどあなた達もアカデミーで勉強を始
      めるし、新春の節目もあるから、一度区切りをつけと
      こうと思って詰め込んじゃったの」
ヴァネッサ「ええ? それってまさか……(チラ)」
オプナ   「まあ、それはあるんだけど……(チラ)」
アベル   「え?え?(アセアセ)」
オプナ   「ふふ、まあ節目の時期ってのもたしかだしね」
ヴァネッサ「教えていただくばかりで……」
オプナ   「いいのよ。機会があればまた会えるだろうしね。
      ただ、私がここで話したことは、あくまで参考で常に
      変化し続ける創作の世界では絶対ではないわ」
ヴァネッサ「はい」
アベル   「わかってるって」
オプナ   「まあ、私を語らしている作者自身が偏った人なので……って
      それはあなた達のほうがしってるか」
ヴァネッサ「いえ、私はそれほど……」
アベル   「うう、なにもいえない」
オプナ   「ふふ、何はともあれ、長い間お疲れ様。
      また別の機会にあいましょう」
アベル &ヴァネッサ「「はーい」」


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